7月14日、海上安全・大漁満足を願う お祭り・鹿島祭りが行われました。
漁が盛んな町・男鹿市北浦では、漁の成果如何は そのまま暮らしの豊かさに つながる大事なことだったんですよね。そんなわけで鹿嶋の神様は、いまでも北浦の人々によって大事に、大事にされています。
この小さな船に乗った武者人形は大きい武者人形が45体、子供たちが作った小さな武者人形が20体乗っています。祭り数日前から一体の武者人形=鹿嶋様を数件の お家で順番に お迎えし、ごちそうや お菓子を供えて お祀りし、祭り当日の朝、こうして北浦神社に集められ、鹿嶋船に乗せられました。
朝9時30分ころ、神事が始まりました。
その間に氏子さん達が お神輿を用意します。
神社の拝殿の中では祝詞が あげられ、巫女さんによる神楽の奉納が おこなわれています。
粛々と神事が執り行われるなか、「わっしょい!わっしょい!」と元気な声が聞こえてきました。神社の前を子供みこしが賑々しく通り過ぎていきます。
一方、こちらの お神輿には、宮司さんが神様を移し、準備が整うと、鹿島人形と ご神体を乗せた お神輿はトラックの荷台に乗せられます。
10時30分。神社出発鹿嶋の神様の お力でしょうか?朝は曇っていて雨が心配なほどだったんですが、北浦神社を出発するころには青空が見えていました。
一行は、天狗・お神輿・宮司さん・鹿嶋人形の順に並んで北浦の町を ゆっくりと移動します。
沿道には地域の皆さんが立ち、車列に向かって手を振り見送ってくれました。
途中、大きな御神木のある御旅所に立ち寄って、
神様に 二匹の立派な鯛を お供えし御旅所祭が執り行われました。
一行が北浦漁港に着くと、4つの地区から出る子供みこしの内の3つ目が やってきたところでした。時刻は ちょうど12時。防災無線のスピーカーからは おなじみの「男鹿市民の歌」が流れてきます。
子供たちは自分が作った鹿嶋様の位置を探したり、友達と駆け回ったりして お祭りを楽しんでいました。
神主さん達、巫女さん、役員さんに続いて、子供たちの代表4人も2礼2拍手1礼でシッカリと鹿嶋様を 拝みます。
お祭りの主役はモチロン神様なのでしょうが、地域の伝統、北浦地区の皆さんが どれほど漁の神様・鹿嶋様を大事にしているのか、鹿嶋様の祀り方、祭りの手順・・・そういったものを これから受け継いで守っていってくれるであろう子供たちこそ、本当の主役なのかもしれませんね。子供たちが楽しんで参加してくれて、この行事を ずーっと続けてくれることが 大事なのだと思いました。
そんな地域の宝である 子供達に、鹿嶋様に お供えされた お菓子が山ほど配られます。子供達にしたら一番楽しみにしていた時間かもしれませんね!お菓子が多すぎて抱えきれずに落っことしちゃう子も いたほどです。
12時45分ころ、たくさんの大漁旗を飾り付けた漁船に鹿嶋船が乗せられます。
鹿嶋船が乗った漁船を先頭に、3隻の漁船が反時計回りに漁港内を3周し、
沖へと出て行きました。子供たちは「鹿嶋様バイバーイ!」と手を振り船を見送ります。
このあと、鹿嶋船は沖に流されるのですが、「どこかの岸に流れ着く」ことは意外と少ないのだそうです。昨年のように、五里合に漂着したのを発見できるのは珍しいことなんですって!
鹿嶋船が沖に出たのを見送って、一行は北浦神社へと引き返しました。
神様に、お神輿から神社に お帰りいただいて、本日最後の神事を行います。
神様が抜けた後の お神輿は、氏子さん達が傷つけないように慎重に、声を掛け合いながら元の場所に安置します。
豊かな生活を送れているのは神様のお力もあるかもしれませんが、なによりも、みんなが地域や、地域の ならわしを大事にしているからこそ、豊かに暮らせるのかなぁという気もします。おまつり ひとつ行うにも、ご近所さんと まつりについて話し合ったり、みんなで協力しないと うまくいきませんものね。
お祭りって、楽しいだけでも、安全祈願のためだけでもなく、祭りをキッカケに地域が一致団結して、関係を より密にするためにも、守り続けなくちゃけない とても大事な行事なんだなと感じました。
お話を伺った方から「男鹿以外の、ほかの地域の「鹿島祭り」もテレビで見たけど、うちのほうがリッパだったわ~」と聞いて、自分たちの地区の鹿島祭りに 大きな誇りと深い愛着をもっているんだなぁーと、羨ましくなりました。
北浦の みなさんの思いが感じられる男鹿市の無形文化財・北浦の鹿嶋まつりは、毎年7月14日に開催されます。来年の7月14日は日曜日ですので、今は市外に住む北浦出身の方々に是非 帰ってきていただいて、お祭りに参加していただきたいと思います。