12月31日、おおみそか の夜。
今ではイベントなどで年中ナマハゲを見かけるようになりましたが、昭和53年(1978)に国の重要無形民俗文化財に指定された「男鹿のナマハゲ」は本来、大みそか=年越しの晩に行われる年神来訪の行事なのです。
そんなわけでナマハゲさんの活躍は今夜が本番!男鹿市内の各地区では日が暮れると地域の若者たちが集
まり神社や公民館などで お払いをして、お神酒をいただいて、ナマハゲになるための儀式を執り行います。
人数は地域にも よりますが、ナマハゲ役が4人。ナマハゲを家に迎えるかどうかを聞いて回る先立ち一人とナマハゲ2人の3人1組で家々を回って歩きます。
平成23年12月31日、男鹿のナマハゲ.wmv
面が よく見かけるナマハゲと違いますね。実はナマハゲ面というのはツノが あったり、なかったり、金銀の色紙で隈取のような模様が描かれていたりと、全部見比べると各地区によってだいぶ違いがあるんです。200種類くらいは あるんですって!そのうち80~90種は真山の「なまはげ館」で見ることができますので、是非 実際に見比べてみて下さいな
3人1組で歩くと申しましたが、もうひとり「叺(かます)かつぎ」という役割の人も同行します。
叺(かます)というのはこの写真にあるような農作業用の袋のコト。「かますかつぎ」はナマハゲが もらった心付けや お餅などを袋に入れて持ち帰る係りなのです。
ナマハゲは7回シコを踏んで家に入ります。用意された酒と お膳の前で5回シコを踏んでから座り家の主人と「子供はイイコにしているか?」「イイコにしてます」「ナマハゲ台帳には良くなかったと書いてあるぞ!」などと問答をし、「これからはイイコにします」と泣く子を「こう言ってますので なんとか ごめんしてけれ~」と庇い、酒を勧めます。問答後立ち上がって3回シコを踏みナマハゲは家を出ます。残った先立ちにも お膳と酒を勧め、心付けを渡すのが一連の流れです。
あんなに大声で子供を脅す必要があるのか?なんて思われるかもしれませんが、大きな声や音は悪霊を追い払うため。悪いものや怠け心を追い払い、家内をひきしめ、福を呼び込むのがナマハゲの お仕事なんです。だから、ナマハゲを入れない家にも「カドふみ」といって ちゃーんと家の外からシコを踏んで厄払いをしていってくれます。そういう場合は先立ちさんがナマハゲを入れるかどうか聞きに来てくれた時点で「今年は入れない」旨を伝えて心付けをわたします。
男鹿にはナマハゲがこない地区もあるんです。それは北浦西水口と男鹿中浜間口の2地区。宇賀神社の神様は農耕の神様なんですが、大の子供好きなので子供が怖がるナマハゲを橋の上から落っことしちゃったんですって!決してナマハゲさんと仲が悪いわけではなく、子供を守りたかったんです。そんな理由で、男鹿でもナマハゲが来ない地域があるのです。
恐いだけじゃなくって、福をもたらす神様というカオも持つナマハゲ。わたしたちの為に怒ってくれてるんだなぁと思うと、ちょっと親しみが わいてきませんか?もともと お山の神様の使いなので、なまはげ館で いろんな地区の お面を見てみると けっこう愛嬌のあるファニーな お顔も多いんです。ナマハゲって知れば知るほど深いんですよね。だからこそナマハゲという文化が何百年も受け継がれてきたのかもしれません。
いよいよ来月には第49回なまはげ柴灯まつりが開催されます。最も強く行事が継承されている真山で、ナマハゲの文化に触れてみてはいかがでしょうか?