「美女の寺」として有名なお寺が船川にあるのをご存知ですか?庭が美しいことでも有名ですが、雪に覆われた庭はとても美しいのです。という情報をいただきました。
「美女の寺」と聞いて黙ってはいられない!早速、取材と称して祈願に行ってきますッ!!!
たどり着きましたのは船川港船川字鳥屋場にあります「大龍寺」
リッパな前庭ですね。3つの大きな岩に「仏・法・僧」の文字が刻まれているのが見えます。
「三遊亭圓楽」??? なんと!故5代目三遊亭圓楽 師匠による書なんだそうです!!
本堂入口
このみごとな龍の彫り物。「伝説の一本杉」からつくられているそうな・・・。
ご本堂の中
ここを起点に、ご住職が ひろーい大龍寺の全貌を、時計回りに案内してくださいます。
「開山堂」という広いお堂の中は、二階部分にぐるりと通路がある珍しいつくり。この場で講演会や演奏会も開催できるんですって!
獅子に乗った文殊菩薩様。「三人寄れば文殊の智恵」の文殊様です。
右肩だけナゼか色が変わってきたそうです。丁度、座禅を組んでいて姿勢が崩れた時に警策でたたかれるところ。なんとも意味ありげです。
訪れた方が、なでぼとけのように「悪いところが治るように~」と撫でていかれるので、撫でやすそうなところはピカピカに光っていますね。
開山堂の入口付近には階段があって、その二階部分には農民の皆さんが数名で一体ずつ奉納した「十六羅漢像」が安置されております。
女川→脇本→船川 と奉納した農民の住所がしるされており、寺がその所在を変えた歴史を垣間見ることができます。
反対側、2階正面には漁民のみなさんが奉納した「三十三観音像」もズラリとならんでいました。漁民は一人一体の奉納。豊かな漁民と、そうでない農民の貧富の差がよくわかります。
ちょうど文殊様の頭の上には、歴代住職の像や遺影があります。
作家の三島由紀夫さんに戒名を授けた方も、大龍寺のご住職であったそうで、お写真がありました。
「龍王殿」
でました!美女伝説
日本海に棲む龍神が五衰三熱の苦悩から逃れるため、絶世の美女に化身して臺巌俊鏡大和尚を訪れ、お礼に残していった「竜髪の払子」が祀られています。(五衰=龍が死ぬ前にその身に現れる五つの衰え 三熱=龍が受ける三つの苦しみ)全国から参拝者が多く訪れますが、特に女性が多く7割ほどを占めているそうです。やっぱりね!
龍王殿の二階部分は鐘楼になっています。こんなに高い場所に鐘があるなんて、珍しいですよね。日本で唯一!の鐘楼堂を兼ねた多宝塔、というコトでとっても貴重なんです!!
「南無解脱飛龍大龍王」とかかれている この鐘を撞かせていただけるということで、キレイになれるようにバッチリお願いしておきましたご住職の懇切丁寧な「鐘を撞くコツ」も伝授していただけます。おもいっきり後ろに引いてから→撞くのと同時に止める!・・・のが上手にできなかったので「もう一度やってごらんなさい。おもいっきり引くんですよ」と再挑戦のチャンスを戴き、2回も撞いてきました。きっと・・・明日にもウツクシク・・・・・・!もうすでにお綺麗な方も 是非どうぞ!
鐘楼堂からみた男鹿の海。今日はお天気がちょっとアレでしたが、それでも素晴らしい見晴らしの良さでした。寒風山と、海に浮かぶ森山・太平山が一望できるんです!あの山の向こうから、朝日が昇る様子を一度見てみたいですねぇ・・・。屋根の上には、お寺を火災から守ってくれる金色の「鴟尾」(しび)も見えますね。
鐘楼堂をおりた先の回廊には季節ごとのうつくしい大龍寺の写真が飾られています。さながらミュージアムのようでした。
「大長庵」
生前、このお寺を訪れた 故5代目三遊亭圓楽 師匠による「心山・心水・心海・心広」の書。
その下は、その後にいらした6代目三遊亭圓楽 師匠による「楽」の文字です。
6代目圓楽 師匠が「楽太郎」と名乗っていらしたころの色紙。
ほんわかして お寺にピッタリな作品ですね
「楽水亭」はもともと澤木家の別荘だったそうで澤木家や、澤木家の娘さんで女流歌人の穂積 生萩(ほづみ なまはぎ)さんの嫁ぎ先・穂積家の貴重な品が多く展示されています。
楽水亭からみた龍王殿・多宝塔と中庭 ひとまわりした後は、楽水亭で一服しながら ご住職にゆっくり お話を伺うことができます。
この池の水、なんと湧水なんですって!さすが龍神さまを祀っていらっしゃるだけあって水にも恵まれています。
夏も不思議と涼しい楽水亭、秋は紅葉、冬は雪景色が美しく、5月はつつじ、梅雨にはあじさいが庭を彩る。365日いつ来ても同じ景色は二度とない。リピーターが多いというのも頷けます。
お外に出て、観音様の おがみ方を教えていただきます。
まずは左から、このお顔をよーく覚えてから・・・
右、そして正面へ。
どうですか?表情がかわって見えますね。どの角度から見たお顔がやさしく映るか見る人によって違うそうです。わたしは右から見たお顔が一番やさしく感じたんですが、左から見たお顔を やさしいと感じる方が多いんですって!それは左が女性的なお姿だからで。右は男性的。正面は男女一体となったお姿なんだとか・・・。わたしが右からのお顔を やさしいと感じたのは男性の優しさを求めてるってことでしょうかね?と聞いてみると「そういうことでしょうね!」と お墨付きを頂きました。
観音様のまわりには、十六羅漢と呼ばれる お釈迦様の
お弟子さんたちも いらっしゃいます。
この方、かわいらしいポーズですね。鹿に乗っています。わたしのイチオシ羅漢。
こちらは戎博迦(じゅばか)さん。コワい顔して何を見上げているかというと・・・?
屋根の上の「鴟尾」(しび)が盗まれないように見張っています。どうりで厳しいお顔。
十六羅漢?のハズなんですが、少し離れたトコロに17人目と18人目の方もいらっしゃいました。手前の17人目の方がナゼ耳かきをしているのか、そのヒミツは実際に行って確かめてみてください。
お庭には国文学者で歌人でもある折口 信夫(おりくち しのぶ)さんの詠んだ歌の碑がありました。
船川のちまたの桜 かがやかに さくとき とほく とつぎゆかむとす
龍神の美女伝説、落語の三遊亭圓楽さん、三島由紀夫さん、折口信夫さん、そのお弟子さんの穂積生萩さん。いろいろな方に所縁があって、訪れる方の幅広いニーズに対応する大龍寺は365日いつでも拝観できます。拝観料400円。11月から3月までの拝観時間はあさ8時から16時まで。駐車場もあります。男鹿駅から歩いて行ける距離ですし。これからの雪の季節も大いにお楽しみいただけるハズ。大晦日には108人限定で除夜の鐘が撞けちゃいます。
楽水亭庭園・大龍寺に、季節の うつろい を感じに通ってみませんか?
男鹿市船川港船川字鳥屋場34 TEL0185-24-3546