東日本大震災から一年たった平成24年3月11日、日本中が前に進まんとの決意を新たにしたこの日、男鹿・大潟地域でも、これから起こり得る さらなる災害から みんなや、みんなの生活を守るためにはどうしたらいいか、男鹿半島・大潟のジオを防災・教育・観光に どう活かしていったらいいかを 考え、多くの方に知ってもらうための「男鹿半島・大潟ジオパーク登録記念フォーラム」が開催されました。
男鹿は過去に何度も、地震や津波・火山噴火などの自然災害に見舞われてきました。
これからは専門家さんやガイドさんだけじゃなくって、わたしたち みんなが、自分たちが住む土地の特色を理解して、ここは地震が来たらどうなるのか、津波が来たら どこに逃げようか、 自衛のためにも学校で、家庭で、地域で話し合う必要があるんです。
男鹿半島・大潟ジオパーク副会長でもある大潟村の髙橋村長から経過報告がありました。
男鹿半島は過去7,000万年の日本海沿岸地域の成り立ちがわかる地層に恵まれている。
大潟村は日本最大の潟湖・八郎潟に、日本最大規模の干拓工事を施し、人の力で潟を大地に変え、農作物を育て、村を作り上げた・・・というドラマに あふれている。
長い年月をかけて自然が作り上げた男鹿の大地、人が作り上げた大潟村の大地。それぞれに違った魅力をもつ男鹿半島・大潟ジオパークを、様々な角度から楽しんでもらえるストーリーを作り上げていこう。ジオパークを学ぶ機会・楽しむ機会を増やして魅力を発見してもらおう。魅力を発信する案内人を育成し、施設や説明版を整備し活動を支援しよう。ツアーやジオ土産などの特産品を開発し、経済活性化を図ろう!というのが これからの課題です
全国の64名101点の応募のなかから1月17日に選定された男鹿半島・大潟ジオパークのロゴマークが発表されました。デザインしてくれたのは東京都の立志哲洋(たてし てつひろ)さん。男鹿の「O」。大潟村の「O」。学術的にも貴重な男鹿半島・大潟の地形・地層・自然・・・。積み重なった地層をイメージした親しみやすく、わかりやすいロゴマークですね。
缶バッチも できましたー。
脇本第一小学校の校長先生・4年生の児童生徒による取り組み発表。
3年生の総合学習で調べた寒風山の石、石材店で見学した、機械で石を切断するときの様子、寒風山の石で出来た製品を見学して学んだこと、また実際に寒風山に行って拾った石を観察した感想などを発表し「自分たちの地域の自慢が また一つ増えました!」と まとめてくれました。
4年生になってからの学習では、男鹿の美味しい湧き水とジオのかかわりについて「雨や雪が地中にしみこみ湧き水となるまでには20年もの歳月が かかる。美味しい水が飲めるのは先人たちが男鹿の自然を守りつづけてくれたからこそ。私たちも山や森の自然を守り、水を汚さないようにすることが大切です」と発表してくれました。
大潟中学校1年生の生徒さんは、毎年 参加しているという自然観察会について報告してくれました。田んぼに生息する昆虫や渡り鳥。10種類にも及ぶ絶滅危惧種の鳥たちが、人口の村である大潟村に やってくる。大潟村の広々とした平野は鳥や昆虫たちの楽園となっているんですって。
発表してくれた児童生徒たちには、NPO秋田地域資源ネットワークさんが作成した男鹿半島大潟ジオパークの副読本が贈呈されました。
おまちかね!地域の食材を生かしたジオ昼食会
村野菜の煮物しょっつる風味
ローストポーク米粉照り焼きソース
米粉イカリングフライ サラダ添え
大潟村名産の かぼちゃでしょうか?
実はコレ、シューマイなんです!ヘタがクコの実で出来ていますね。舌だけでなく目をも楽しませてくれます。モチロン大潟村のお米もスゴク美味しかったですよ!
午後からは男鹿市観光協会の三浦さんと、大潟村案内ボランティアの石原さんによる「バーチャルジオツアー」短時間で男鹿半島大潟ジオパークを仮想探訪しましょう!
船越の観光案内所内にあるジオビジターセンターから出発し→男鹿半島で一番古い岩石が見られる入道崎
→ゴジラ岩・ゴジラのシッポ・人面岩など岩石の天然彫刻が豊富な・潮瀬崎→ヤブツバキ自生 北限の地である能登山の椿・椿の白岩・グリーンタフ・ロウソク岩などが見られ、釣りスポットでもある館山崎→魚のウロコの化石、サメの歯などが見つかっている鵜ノ崎海岸→小学生から専門家まで、地層好きに人気の安田海岸。ここでは陸の生き物である炭化した植物が入った地層と海の生物である貝化石が入った地層、遠くから飛んできた火山灰層が見られます。つまりここは陸に成ったり水中になったりした過去があるということです→次は戸賀湾・二ノ目潟などの目潟火山群のある八望台へ。マグマが地下水に触れて水蒸気爆発して、その くぼみに地下水がたまったのが二の目潟と三ノ目潟なのです
→火山といえば寒風山。山頂からは第一火口・大に火口や溶岩が冷えて固まった後である溶岩じわ も見ることができます
→大潟村 干拓博物館では八郎潟の干拓について写真や映像で学ぶことができます→大潟村発祥の地・八郎潟干拓碑と干拓前の八郎潟の水位がわかる水位標→地面からの高さが富士山の1/1,000の3.776m,標高は0mの大潟富士。大潟村は海面よりも3.8m低いところに地面があるのです→24時間365日、やすみなく干拓地の水を排水し、干拓地を守る南部排水機場→大潟村をぐるりと囲む干拓堤防
→日本で唯一緯度と経度が10度単位で交わる地点・経緯度交会点→サンルーラル大潟に戻ってきました。臨場感あふれる お二人のガイドで、本当にジオツアーにいったような気分になりました。
秋田大学名誉教授・白石 建雄 先生による基調講演「持続可能な地域活性化ツールとしてのジオパーク」
「やっと胸に男鹿半島・大潟ジオパークバッジを付けるコトができました。」と喜ぶ白石先生。
ジオパークは楽しくなくちゃ!大地とそのうえで生まれたストーリーのテーマパークがジオパークなんです!そのためにはジオの楽しさを伝える人が まず楽しもう!
2時46分には東日本大震災 犠牲者の皆さんを悼み、みんなで黙とうを奉げました。
座談会と意見交換「ジオパークと地域活性化」
男鹿は○万年前の地層とかですけど、大潟村は やっと もうすぐ50年。大地は まだまだ若いけど、人の営みもジオの内なんです。潟だったところが大地となり、その上には今や田んぼや畑が出来、そこでは昆虫や野鳥など多くの生物が生きている。堤防に守られた大潟上の大地の上に立つとき、日本海の海面は頭上のはるか上に広がっている。何もなかった大潟村には多くの渡り鳥が訪れるようになりました。村内には、大潟村立20周年を記念して村民の手によって植樹された桜並木・菜の花ロードも広がっています。
大地があって、自然があって、人の営みがあって・・・。ジオって化石と地層だけじゃないんです。鹿と大潟の特徴の違いも また おおきな魅力なんです。
八郎潟町出身の方から「子供のころ、遠足で男鹿に行ったが、脇本城のことは知らなかった。ジオと脇本城には どのようなかかわりがあるのですか?」という質問がありました。
脇本城は戦のための砦でもありますので、高いところにあって、遠くまで見渡せなくてはいけません。脇本城は土崎まで見渡せる段丘の上にある。男鹿の段丘の発達具合は日本でも一級なんだそうです。脇本城は地形を大変うまく利用して建てられた お城なんです。
地形といえば、ハタハタが男鹿で産卵するのも海流や地形にめぐまれているからなんですよね。
大潟村の お米が美味しいのも、潟のミネラルの おかげなんですって!
美しい景観と豊かな自然環境。
大地は人に豊かな恵みを もたらしてくれるが、常に人にやさしいわけではなく、時として牙をむくこともある。火山噴火・地震・津波・土砂崩れ・・・これらの災害から身を守るためにジオロジー(地質学)を活用していかなければなりません。ここは岩盤が固いから地震が来たらここに逃げようとか、海に遊びに行っても「もしも今、地震が起きたら、津波や土砂崩れから逃げるために こういうルートで高台に逃げよう」という身近な事例から、家族や地域で考えてみませんか?